//Yamamoto Moeha

Yamamoto Moeha

大学に進むことで開けたバレリーナ以外という選択股

その頃23歳だった私は、中学卒業と同時にロシアにいった関係から高校を出ていなかったこともあり、勉強をして大検を取得し、京都にある同志社大学の文学部にある美学芸術学科に入学しました。大学では、体系的・文学的に芸術全般を学びました。西洋美術・東洋美術・映画学・演劇学・カメラなどさまざまな分野を学び、学芸員の資格を取得したり、本が好きなので図書館学も勉強し、図書館司書の資格も取得しました。大人になってから大学に行き勉強すると気付きが多く、とても楽しく過ごすことができました。

京都で4年間過ごし、就職活動を開始したのですが、日本の企業にはそこまで興味が持てなくてロシア語を活かしたりする企業が無いかと探していた時に、大学の先生から「実技経験もあることだし、バレエの研究者になってみたら?」と言われました。怪我で解剖学なども勉強した経験から、その道もアリかなとは思ったのですが、日本の大学院に進むかどうか迷っていました。

そんななか、ロシアにも芸術系の大学があることを思い出し、そこの大学院に行って舞台芸術を学んで教師免許をとろうかと思うようになりました。ただ経済的にもお金を稼がなくてはいけないので、モスクワで就活をして、現地採用で資金を貯めてから大学院に通おうと思いました。丁度ロシア語が話せて可能であれば芸術系の話が出来る秘書が必要だという先方とのタイミングが合い、丸紅のモスクワ支店に採用が決まりました。ただ、日常会話と社会人生活の中でビジネスとしてのロシア語の違いにはかなり苦戦しました。

バックステージガイドを法人化して再度バレエに携わる

秘書の仕事を始めたのが2011年頃なのですが、ちょうどその時期がボリショイ劇場のリニューアルオープンの時期だったんです。6年間修繕工事をしていて、10月のリニューアルオープンに向けて劇場側が色んなプログラムを試してみようという中で「バックステージツアーを外国人向けにするのはどうだろう」という企画があると留学時代のロシア人の同級生から紹介されました。とても興味があったのでやってみたいと思ったのですが、外国人にとっては発行元の会社以外で働けないという労働ビザの問題があり、上司にも相談しながら検討した結果、法人を作り、2012年からバックステージガイドの仕事をすることになりました。

ボリショイ劇場展を日本で開催したい

バックステージに興味を持ってくれたり感動してくれたりする人は多くいるんですが、それはボリショイ劇場自体が、建物や、歴史のある博物館的な要素だったり、伝統があったりと説得力のある、魅せれるものがたくさんあるからだと思います。ツアーをきっかけに舞台を観に行ったりバレエを観に行ったり、劇場に足を運んでみようと思うロシア在住の日本人の方が増えると、現地によりそった価値観を提供できるという点で、とてもやりがいのある仕事だなと思います。


パフォーマンスとしてのバレエやオペラはこれまで何度も日本公演がありましたが、パフォーマー達に関わる、普段スポットがあたらないデザインや照明や衣装などのクリエイティブな部分をもっとフォーカスした『劇場芸術展』というものを日本に持ち込みたいと考えています。アジアでの展示会は未開拓ということもあり、劇場から委任状をもらっているので、主催社探しなど活動を進めています。現在やっと少しずつ進みつつあり、興味を示してくれている様々な企業と協力しながら2021−2022年頃の開催を目処に動いているところです。

「世界最高峰のボリショイ劇場 舞台裏で躍動する日本人元バレリーナ」
Yahoo News

NHK国際報道2019「ロシアバレエの魅力伝えて」
NHK WORLD LOUNGE